
「教えるだけ」では、従業員は動かない。「自分の健康は自分で守る」文化を作るための設計
「社内報やeラーニングで健康情報を発信しているが、従業員の反応が薄い」
「『健康に気をつけましょう』と何度伝えても、生活習慣が変わる気配がない」
健康経営担当者様から、このようなご相談を頻繁にいただきます。
食事、運動、睡眠、喫煙、飲酒……。企業として正しい知識を伝えることはもちろん重要です。
しかし、「知っている(Knowledge)」ことと「できる(Action)」ことの間には、実は大きな壁が存在します。

従業員が主体的に健康行動をとる「自走する組織」を作るためには、従来の「教える」アプローチに加えて、行動変容を促すための新たな設計図が必要です。
本記事では、本当に効果が出るセルフケア文化の作り方を解説します。
なぜ「正論」を伝えても、従業員は動かないのか?
健康経営を推進する上で、従業員一人ひとりが自身の生活習慣を見直し、管理する「セルフケア(健康管理)」が欠かせないことは言うまでもありません。
そのため、多くの企業が啓蒙活動として以下のような情報発信を行っています。
「睡眠不足は生産性を下げます。睡眠の量と質を確保しましょう」
「メタボ予防のために、腹八分目を心がけましょう」
「休肝日を作りましょう」
これらは医学的に正しい「正論」です。もちろん、知識がなければスタートラインに立てないため、正しい情報を教えることは非常に大切です。
しかし、それを受け取る従業員心理としては「それは分かっているけれど、忙しくてできない」あるいは「自分はまだ大丈夫(自分ごと化できていない)」というのが本音ではないでしょうか?
企業が一生懸命「知識」を提供しても、それを受け取る従業員側の準備ができていなければ、情報は右から左へと流れてしまいます。
ここを変えるために必要なのは、正しさを教えることだけではなく、「自分にもできそうだ(自己効力感)」と感じさせ、「やってみたい(内発的動機)」を引き出すアプローチをセットで行うことです。

「知識」を「行動」に変える3つの設計図
セルフケアを単発の啓蒙活動で終わらせず、組織文化として根付かせるためには、以下の3つのフェーズで施策を設計する必要があります。
① 動機づけ:健康を「ビジネススキル」と再定義する
まず、「健康=病気にならないために守るもの」という守りのアプローチから脱却します。
ハイパフォーマーや若手社員に響くのは、「健康=最高のパフォーマンスを出すためのビジネススキル」というポジティブな定義です。
「病気予防」の話ではなく、「集中力」「意思決定力」「リカバリー(疲労回復)」の話へと転換することで、従業員の関心を惹きつけます。
② 小さな成功体験:ハードルを極限まで下げる
心理学者のアルバート・バンデューラが提唱した「自己効力感(Self-Efficacy)」を高めるためには、「これなら自分にもできる」という小さな成功体験が不可欠です。
いきなり「毎日運動しよう」と高い目標を掲げるのではなく、まずは「自分の状態を知る(記録する)」ことや、「エスカレーターではなく階段を使う」といったMicro Action(仕事や日常生活の中で簡単に実践できる小さな行動)から始めることが重要です。
③ 環境づくり:行動を誘発する「ナッジ」
そして最も重要なのが、「日常生活の中でどう継続させるか」という環境のデザインです。
人の意志力は弱く、業務に戻ればすぐに健康意識は薄れてしまいます。だからこそ、個人の努力のみに依存せず、自然に行動を促す「ナッジ(行動のきっかけ)」 を日常に埋め込む必要があります。
この「環境づくり」には、職場の雰囲気づくりや物理的な仕掛けなど様々なアプローチがありますが、現代のワークスタイルにおいて有効な選択肢の一つが、従業員が持ち歩くスマホを活用した「健康アプリ」の導入です。

アプリが「セルフケア」の入り口を広げる
では、どのようなアプリであれば環境として機能し、従業員の行動を変えられるのでしょうか?
ただ歩数を測るだけのツールでは不十分です。セルフケアのハードルを下げ、習慣化させるためには、大きく2つの機能的特徴が必要です。
特徴① 「マルチエントランス」で多様な悩みに応える
健康への関心事や悩みは、人それぞれ異なります。
「運動は苦手だけど、最近眠れないのが悩み」という人もいれば、「ダイエットのために食事管理をしたい」という人もいます。また、女性従業員であれば「生理周期による不調」が最大の課題かもしれません。
そのため、アプリには歩数だけでなく、食事・睡眠・体重・生理など、多様な入り口(マルチエントランス)が用意されている必要があります。
「運動しなさい」と押し付けるのではなく、「まずは気になる睡眠ログから始めてみよう」と、従業員一人ひとりが自分に合った入り口からセルフケアを始められる環境こそが、自律的な行動を生み出します。

特徴② 「報酬(インセンティブ)」が最初の背中を押す
行動を習慣化する初期段階では、目に見えるメリット(外発的動機づけ)が非常に有効です。
「健康のため」という将来の利益(遅延報酬)は、目の前の「面倒くささ」に負けてしまいがちです。
そこで重要になるのが、記録したり歩いたりするだけでポイント等の報酬が得られる「インセンティブ」の仕組みです。
「ポイントがもらえるから、ちょっと記録してみよう」という気軽な動機が、最初の一歩を踏み出す強力なナッジとなります。

これらを網羅するソリューションとしての「FiNCアプリ」
上記の「多様な入り口」と「継続させる仕組み」を兼ね備えているのが、ヘルスケアアプリの「FiNCアプリ」です。
FiNCアプリは、食事・運動・睡眠・生理などライフログを一つのアプリで管理できるだけでなく、行動に応じたポイント付与などの報酬モデルが組み込まれています。
「知識」で意識が変わった従業員に対し、その熱を冷まさず「行動」へと繋げるための最適なツールとして機能します。
まとめ:「教える」ことに加えて「環境」を整える
「自分の健康は自分で守る」文化を作るために、企業がやるべきことは、従業員に正しさを教え込むことだけではありません。
「教える」ことに加えて、正しい知識を持った従業員が、自ら気づき、楽しみながら実践できる「環境」を整えることも必要です。その環境を作るための有効な手段の一つが、デジタルツールの活用です。
「知識の提供」と「実践のためのツール」をセットで提供することで、初めて「知っている(Knowledge)」から「できている(Action)」への橋渡しが可能になります。
FiNC for BUSINESSでは、従業員の多様な悩みに寄り添い、楽しみながら健康になれるアプリの提供を通じて、貴社の健康経営を強力にサポートします。
「やりっぱなしの施策を見直したい」「従業員が自ら使いたくなるツールを探している」とお考えのご担当者様は、ぜひお気軽にご相談ください。
ご不明な点はお気軽に
お問い合わせください
FiNC for BUSINESS
に関する資料はこちら





