健康経営実践企業が 健診受診率向上に向けて実施していること
企業で実施する、健康診断とは・・・
労働安全衛生法第66条にて、
企業には健康診断の実施、従業員には受診が義務付けられています。
健診受診率100%を目指したいものの、なかなか健康診断の受診率が上がらない現状に
悩む人事・労務担当者も多いのではないでしょうか。
今回は、健康経営実践企業
(健康経営銘柄・ホワイト500・健康経営優良法人(大規模法人)認定企業)の取組みを
ご紹介していきます。
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健康診断の受診率
健康診断の受診率については、
厚生労働省の資料「平成24年労働者健康状況調査 結果の概要」を参考に、見ていきましょう。
事業所の実施率:91.9%
受診率 :81.5%
健診受診率は81.5%
調査データの平成24年(2012年)ですと、11年前であり、健康経営の言葉もなかったタイミングになります。直近データを見たいものですが、国から出されている受診率としては81.5%となります。
他に、
・産業別
・従業員規模別
・就業形態別
・男女別
などのデータも出ていますので、詳細が気になる方は、リンク先厚生労働省の資料をご覧ください。
健康診断を受けない従業員側の理由
厚生労働省によれば、健康診断を受診しない主な理由は以下の3つに大別できます。
1.健康診断を受診する時間やアクセスの良い健診機関がない
2.健康診断を重要視していない
3.病気の発覚と、人事評価に不利益になることを懸念している
それぞれ詳細を見ていきましょう。
健康診断を受診する時間やアクセスの良い健診機関がない
一番多く聞かれる理由かもしれませんが、業務が多忙の為、健康診断の受診は面倒、
後回しになってしまう。
一度予約するものの、お客様対応等でリスケし、なんとなくそのままズルズルしてしまう。
また、受診する意欲はあるものの健診機関が会社や自宅の生活圏外にあり、
行くのに時間がかかる等あるとこちらも面倒・手間に感じられ
受診されない理由になってきます。
健康診断を重要視していない
日本には国民皆保険制度があるので、諸外国よりも予防の概念が薄く、何かあれば病院にかかれば良いや。といった意識のかたも多くいます。
法律で定められている企業の健康診断の実施・従業員の受診義務を知らない方も多くいると思われます。
病気の発覚と、人事評価に不利益になることを懸念している
健康診断によって、自身の病気が発覚する恐怖と、それを見た会社から
評価に不利益が起こるのではないかと懸念されることがあります。
治療のために長期休暇や休職、就業制限による経済的な不安も受診をしない理由の
一つになります。
健診受診率向上に向けて健康経営実践企業が取り組んでいる受診勧奨方法とは
ACTION!健康経営のホームぺージ内にある、
令和4年度健康経営度調査に基づくフィードバックシート
◆2,238社分の評価結果データ(Excel形式データ)
を参考に作成しております
<健康経営銘柄>
ソフトバンク株式会社
CHROより全社員宛てに健康診断受診や再検査の重要性をメール配信するとともに、
未受診者に対しては早めの受診要請を実施。
部門を管轄する人事担当者と連携の上、ツールを活用することで、未受診者本人だけでなく
上長からも働きかけが行えるよう、受診促進の強化を図る。これにより2019年度から
定期健康診断受診率は3年連続で100%
<ホワイト500>
不二製油
定期健康診断、二次健診、ストレスチェックの受検率100%を掲げ、
安全衛生委員会や社内イントラネットでの呼びかけ
上司への働きかけを続けている。
2019年から定期健康診断受診率は3年連続で100%
浜松磐田信用金庫
全職員の健康診断受診日を人事部にて一括予約し管理。
また、職員自らが希望日に健康診断を受診できるようインターネット予約を導入。
庫内文書でも受診勧奨を行う他、未受診者へは個別に連絡を行う。
【健診受診率遷移】
2019年:98.9%
2020年:99.9%
2021年:100.0%
浜松いわた信用金庫健康経営 | 浜松いわた信用金庫
<健康経営優良法人>
三菱商事RtMジャパン
未受診者に早期より受診するまで繰り返し勧奨。
産業医より衛生教育を定期実施。
労働組合の要望により定期健診項目を大幅追加。当該年度も継続実施。
通知での周知や衛生委員会を通じた受診勧奨。
豊通ケミプラス
定期健診は社内各媒体を活用し情宣、未受診者への受診勧奨
精密検査指示者は専門職による面談を実施し受診勧奨の結果
対象者の100%受診を達成。
「健康事後措置に関する通達」を設置し受診勧奨の仕組みを構築。
ロイヤルホームセンター
対象者及び所属長に受診を勧奨。
また、月に1回開催の中央安全衛生委員会で、受診者の進捗率の共有と
受診の促進を実施。
セントラルスポーツ
受診可能な受診期間の更なる拡大、受付システムの構築、
衛生管理者の取得推進
未受診者に対する受診奨励、監督者に対する受診励行促進などを実施。
従業員にも病気を未然に防ぐと言う意識が徐々に芽生え100%の受診となった。
事例から考えられる、受診率向上に向けた取組みまとめ
健康診断の意義・意味を会社のTOPから発信する
ソフトバンク社の取組みでは、CHROから全社員宛てに健康診断受診や再検査の重要性をメール配信されてました。
なぜ受ける必要があるのか、制度や意義、健診結果による待遇への影響等をしっかり説明し、理解を得ることが重要になります。
受診しやすい環境づくり
健康診断受診の妨げになっている、
・受診期間・予約の簡易さ
忙しくて提示された期間内で受診できない。また、都合が悪くなった際のリスケが大変。
などが受診率低下につながる為、予約の取りやすさ、変更のしやすさも受診率向上に
重要になります。
また、受診時期が仕事の繁忙期と重ならないように配慮することも大切です。
・受診場所
健診機関が遠い・不便なども、受診率低下につながります。医療機関を増やすことで、
その後の管理が大変になることもある為、依頼されている健診機関や健保様に提携機関がないか
相談の上、受診対象機関を増やすことも対策のひとつとなります。
・制度
業務時間外で受けないといけない。健診費用の負担など、制度面の見直しで、受診率向上に
つながることもあります。
懸念になっているものをできるだけ取り除き、受けやすい環境を作りましょう。
まずは、受診されていない方の理由をヒアリングし、自社の状況や従業員の実態にあった対策を打つことが肝要です。
健康診断は病気の早期発見や、健康の維持のために必要です。
従業員が健康診断を受けたくなる、受けやすくするようなきっかけ作りや制度を取り入れて、受診率を上げるよう努めましょう。
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