健康経営を取り組む前に知っておきたい4つの大事なこと
近年、健康経営の重要性がますます高まっている中、
健康経営を進めていくにあたり、「何から始めればいいか分からない」
と模索している担当者も多いのではないでしょうか。
本記事では、健康経営の取り組みを行うための道しるべを
経済産業省から出ている企業の「健康経営ガイドブック」を元に解説していきます。
https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/healthcare/kenkokeiei-guidebook2804.pdf
目次[非表示]
- 1.そもそも健康経営とは?
- 2.健康経営に取り組むメリットとは?
- 3.健康経営での認定制度について
- 3.1.健康経営優良法人認定制度
- 3.2.健康経営銘柄とは?
- 4.さっそく健康経営を始めてみよう!…とその前に重要な4つ
- 5.まとめ
そもそも健康経営とは?
「健康経営」とは、
「従業員等の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に実践すること」です。
企業理念に基づき、従業員等への健康投資を行うことは、
従業員の活力向上や生産性の向上等の組織の活性化をもたらし、結果的に業績向上や株価向上につながると期待されています。
参照元:経済産業省
健康経営に取り組むメリットとは?
長期的なビジョンに基づいて健康経営に取り組むことは、
従業員の健康保持・増進、生産性向上、企業イメージ向上につながり、
採用や離職にも大きく関係しています。
経済産業省のデータによると
就活生及び転職者に対するアンケートを実施した結果、
企業が健康経営に取り組んでいることが就職先の決め手になると約6割が回答しています。
また、求職者が働く職場に望むものとして「心身の健康を保ちながら働けること」がトップであり、
多様な価値観を持つ働く世代において健康経営が重要な要素となっています。
参照元:令和6年3月 経済産業省 「健康経営の推進について」
離職率においては、健康経営に取り組んでいる企業は離職率が低い傾向もでています。
2021年の全国平均離職率と比較しても低い傾向だと分かります。
参照元:令和6年3月 経済産業省 「健康経営の推進について」
実際、健康経営に積極的に取り組む企業の中で、
「健康経営銘柄」(※後述)に選定された企業の株価は優位に推移しています。
また、健康経営を実践した企業の事例では、医療費や有所見率、従業員満足度などの効果が示されています。
これらから、従業員の健康と安全に注力することが市場における競争力の優位性を保つ要因となっていると言えます。
具体的には以下のようなイメージです。
従業員の健康を経営的視点から考え、戦略的に実践することが将来的に収益性を高める投資となることを示しています。
①従業員への健康投資を行う
↓
②従業員の健康増進: 健康プログラムや予防策を通じて従業員の健康を促進する
↓
③生産性の向上: 健康な従業員は生産性を高め、組織の業績に寄与する
↓
④企業価値向上: 健康経営は企業の評価や持続可能性に影響を与える
健康投資のイメージ図
企業の「健康経営」ガイドブック 経済産業省 商務情報政策局 ヘルスケア産業課
健康経営での認定制度について
健康経営の取組みを、公共機関による認定制度を利用することで、
施策の基準を設定したり、PRに役立てたりできるメリットがあります。
認定制度(健康経営優良法人認定制度)についてご紹介します。
健康経営優良法人認定制度
特に優良な健康経営を実践している大企業や中小企業等の法人を「見える化」することで、
従業員や求職者、関係企業や金融機関などから社会的な評価を受けられる、
という環境を整備することを目的に、日本健康会議が認定する認定制度です。
この制度では、大規模法人部門と中小規模法人部門の2つの部門が設けられており、
大規模法人部門の上位層は「ホワイト500」
中小規模法人部門の上位層は「ブライト500」が付加されるものです。
従業員の健康づくりに積極的かつ具体的に取り組んでいることが社会的に認められます。
参照元:経済産業省
健康経営銘柄とは?
健康経営優良法人に認定されている中でも、特に優れた健康経営を実践している、原則として33業種で各1社(上場企業)が選定されます。
経済産業省と東京証券取引所は、健康経営優良法人の上位500位以内の企業から、ROE(自己資本利益率)や
社外情報開示などの基準に基づいて選定しています。
参照元:経済産業省
さっそく健康経営を始めてみよう!…とその前に重要な4つ
健康経営の定義、メリットは理解できたがどのように始めればいいのでしょうか?
健康経営を実践するためには、以下の4つの要素が重要です。
- 経営理念・方針: 組織のビジョンに基づいて健康経営を考えます。
- 組織体制::組織全体で連携し、健康経営を実践します。
- 制度・施策実行: 具体的な健康プログラムを実施します。
- 評価改善::成果を評価し、改善策を導入します。
※5.法令遵守とリスクマネジメント:労務管理の基礎でもあり健康経営の基盤として実践すべきものです。
法令遵守やリスクマネジメントは当然行われるものとして前提であるため本記事では割愛いたします。
健康経営の実戦に向けた体系図
企業の「健康経営」ガイドブック 経済産業省 商務情報政策局 ヘルスケア産業課
経営理念・方針
~健康経営理念を定め、社内外に発信~
・健康経営理念の明文化させること:企業のトップが健康に関する基本方針を決定し、社内外に発信します。
企業として健康経営に取り組む姿勢を従業員や投資家等、様々なステークホルダーにメッセージとして
発信することが望ましいと言われています。
・目的の明確化:健康経営の目的を企業の持続的成長に資するものとし、自社の企業理念や中長期計画に基づいて宣言します。
組織体制
~健康経営理念に基づき、運営組織体制を整えましょう~
企業が従業員の健康経営に取り組むためには、組織体制を構築する必要があります。
経営トップと経営層全体が一丸となって取り組む必要があります。
・実行力のある組織体制の整備:管轄部門は、専門部署を設置するか、既存の部署に健康経営担当者を配置します。
取り組みの効果をさらに高めるために、従業員の健康保持・増進を担当する職員に対して、研修の実施などを行うことも重要となります。
・連携とPDCAサイクルの実施::産業医や保健師、健康保険組合、労働組合、従業員などがチームとなり、健康経営を推進します。
新たに設置された運営組織を中心に連携し、PDCAサイクルを実施する体制を整えましょう。
制度・施策実行
~従業員の健康課題を導き出し、施策を実施する~
人事・総務・保健師など健康推進担当者は、ここのフェーズから検討し始めることが多いのではないでしょうか。
健康経営を実践する上では、自社の従業員の健康状態を把握し、どこに課題があるかを理解しておくことが重要であり、大事なフェーズとなります。
・従業員の健康課題の把握:ストレスチェックや健康診断、社内アンケートなどを活用して、従業員の健康状態や課題を理解します。
例えば、業務によるメンタルヘルス不調や長時間のデスクワークによる腰痛などが見えてくるかと思います。
従業員の健康課題を把握した上で、具体的に何をどのように実践していくのか、取り組み内容の目的やゴールを検討・計画し、実施します。
・具体的な施策の計画と実施:健康経営の目標や取り組み内容を検討し、職場環境や働き方、個人の生活などあらゆる側面からアプローチします。
企業が率先して実施できるものからスタートし、必要に応じて外部企業と連携して実施します。
禁煙ルールの明確化や生活習慣病予防のために健康を意識した社内食堂の整備、残業が多い場合は
長時間労働の抑制、休暇取得の促進、産業医との契約などが具体的な施策として考えられます。
評価・改善
~効果検証をし、改善していく~
PDCAサイクルは、計画(Plan)を立てて実行(Do)し、その結果を評価(Check)し、必要に応じて改善(Action)するサイクルです。
施策実施の効果検証は、健康経営の PDCA サイクルを循環させ、さらなる質の高い健康経営実践にあたり、必要不可欠な要素となります。
従業員の健康管理においても、このサイクルを回しながら、日常的な健康データを記録し、成果を評価していくことが重要です。
まとめ
健康経営は、従業員の心身の健康を総合的に考慮した経営手法です。
従業員のための取り組みが、課題やニーズを把握せず無作為に施策を実施すると、参加率・満足度が低く形骸化することが多くあります。
また、施策の目的や計画が無くとりあえずやってみようだと、効果検証ができず、結果的にやりっぱなしになりかねません。
制度・施策立案については、まずは従業員の健康課題を把握することからが大事です。
ただし、自社内のスタッフだけで取り組むのには限界があるので
メンタルヘルスケア対策においても、産業医の面接指導など、外部の専門家と連携しながら取り組むことが必要です。
今回は健康経営取り組む前の4つをご紹介させていただきましたが
健康経営や、健康管理や社員への健康増進について、ご相談も受け付けておりますのでお気軽にお問合せください。
【問い合わせ先】