令和5年 ストレスチェック傾向と対策
企業が抱える労働者のメンタルヘルス管理は、組織運営においてますます重要性を増しています。
特に、2015年に義務化されたストレスチェック制度は、その動向をしっかり把握し対策を講じるための大きな指標となります。
企業の担当者様に向け、今回は全国労働衛生団体連合会が公開する最新のストレスチェックサービス実施結果を分析し、
業種別や年代別に見る傾向と対策をご紹介します。
貴社の効果的な健康経営に活かしてみませんか?
公益社団法人 全国労働衛生団体連合会 で公開されている
「令和 5 年 全衛連ストレスチェックサービス実施結果報告書」
1,342,144人分のデータをもとに、傾向と対策をまとめていきます。
https://zeneiren.or.jp/cgi-bin/pdfdata/20240919152824.pdf
目次[非表示]
- 1.ストレスチェックの目的や「高ストレス者」の判定方法について
- 2.高ストレス者の全国平均
- 3.年代別高ストレス者割合
- 4.業種別の高ストレス者割合
- 5.総合健康リスクの全国平均
- 5.1.総合健康リスクとは
- 6.年代別健康リスク
- 7.業種別健康リスク
- 8.医師面接及び相談対応割合
- 9.まとめと対策
- 10.さいごに
ストレスチェックの目的や「高ストレス者」の判定方法について
令和4年のストレスチェック傾向をまとめた記事にも記載がありますので、気になる方はご参照ください。
高ストレス者の全国平均
「令和5年 全衛連ストレスチェックサービス実施結果報告書」によると、
対象データ:
令和 5年1月~12月の間、全衛連会員が実施したストレスチェックのうち、匿名化処理をしたうえ解析することに同意が得られた1,342,144人分
高ストレス者の全国平均:14.9%(200,544人)
令和4年と同じ14.9%となっています。
高ストレスと判定された人の割合を男女別にみると、
男性は16.7%、女性は12.3%
男性の方が4.4%高い結果となっています。
(※判断基準②:素点換算表を使う方法で算出)
年代別高ストレス者割合
年代別に見てみると、
30歳代、40歳代、50歳代が全体平均(14.9%)より高く、
10歳代、20歳代、60歳代以上では低かった。
業種別の高ストレス者割合
業種別では、鉱業、採石業、砂利採取業(19.0%)、製造業(17.8%)
運輸業、郵便業(15.2%)、サービス業(他に分類されないもの)(14.9%)が
平均(14.9%)より高かった。
よくご質問いただく観点での高ストレス者割合の傾向内容を紹介いたしました。
他にも
・職種別
・雇用形態別
・職位別
といった観点で高ストレス者割合が全衛連の報告書にまとまっていますので、より詳しく確認したいという方は、是非、報告書をご覧ください。
総合健康リスクの全国平均
総合健康リスクとは
・仕事の負担(量)
・仕事のコントロール度
・上司のサポート
・同僚のサポート
から計算された、職場の健康リスク指標となる値のことで、全国平均は100と表されます。
総合健康リスクの数値が高い(100を超える)ほど、
職場環境が労働者の健康に悪影響を与えているリスクが高いと判定されます。
これまでの調査事例では、健康リスクが120を越えている場合には、
何らかの仕事のストレスに関する問題が職場で生じている場合が多いとされています。
全国平均の結果は、昨年同様、
男性の全業種平均健康リスクは99、女性は94となっており、
男女ともに100を下回る結果となりました。
年代別健康リスク
総合健康リスクを年代別にみると、
男性では、30歳代、40歳代、50歳代が100より高く
女性では、各年代で100を下回りました。
業種別健康リスク
男性では、鉱業、採石業、砂利採取業・運輸業、郵便業・サービス業(他に分類されないもの)・製造業が健康リスク100を超える結果となり、
女性では、唯一、鉱業、採石業、砂利採取業が100を超える結果となりました。
その他、
年代別
職種別
雇用形態別
職位別
なども全衛連の報告書にはまとまっていますので、より詳しく確認したい方は、是非、報告書をご覧ください。
医師面接及び相談対応割合
医師面接・相談対応についてはアンケート調査を実施、全衛連会員のうち91機関が回答、その集計データになります。
医師面接の実施率は2.0%です。
医師面接実施率の推移をみると、昨年よりは、0.5%増えたものの、低い傾向となっております。
まとめと対策
今回も、約140万人のデータから出された全衛連ストレスチェックサービス実施報告書を基に、よく聞かれるポイントをピックアップいたしました。
厚生労働省が公表しているストレスチェック制度実施マニュアルにおける「高ストレス者」の判定基準では、おおよそ全体の10%程度が「高ストレス者」となるよう設計するとされています。
あくまでも目安ではありますが、「健康経営」が少しづつ広がり、実際に取り組んでいる企業も増えていますが、高ストレス者割合はあまり変わらない状況です。
従来の高ストレス者対策以外に何ができるか・・・
高ストレス者抑制に向けての対策として、
・相談窓口の有効活用
(メンタル相談に特化せず、呼び名を「なんでも相談」等 相談のハードルを下げる)
・メンタル対応の経験豊富な医師による面談対応
・1on1の実施
(どういった目的で何をするか、臨床心理士等専門家による研修をマネジメント層に行い実施する)
・パルスサーベイの活用(定点観測)
といった取組みが増えてきました。
人的資本経営やウェルビーイングという言葉がよく聞かれるようになりましたが、そのベースには心身の健康(労働安全衛生)があります。
NPO法人健康経営研究会
『未来を気付く、健康経営-深化版: これからの健康経営の考え方について-』(2021)イラスト
ストレスチェックを有効活用するため、全国平均・業種平均をベンチマークに自社の立ち位置を把握し、そこからの高ストレス者ケア・対策を検討してみてはいかがでしょうか。
さいごに
FiNCでは、ストレスチェック57問を内包した97項目のサーベイをご用意しております。
ストレスチェックで見えるメンタルだけではなく、エンゲージメントやフィジカル、生産性の観点では、プレゼンティーズム・アブセンティーズムの数値化や生産性を下げている要因分析まで可能です。
人的資本経営、情報開示に向けてサーベイが乱立している企業様も多く見受けられます。
サーベイを回答する従業員の負担、従業員へ回答を促し・結果分析と対策を担当する従業員の負担も考えると、1回のサーベイでストレスチェックだけでなく各種分析も可能な効率的な方法もございます。
無料相談も行っておりますので、お気軽にお問合せください。
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